医療保険の必要性は?!

医療保険とは、いわゆる「入院したら、1日につき1万円の給付金が受け取れる」という保障内容の保険です。

この場合の入院日額の保障金額は、自由に選択できるのですが、どの程度の保障額にするのか迷うものです。殆どの方は「みなさん、どの位にされています?」と、一般的な金額を確認される方が多く見受けられます。

では、どの程度の保障額が適正なのでしょう?

必要な保障額は、職業により大きく異なる?!

どの程度の保障額が必要かは、職業により大きく2つに区分されます。

その1つは、自営業者の方々です。

自営業者の方々は、病気などにより仕事ができない場合には、収入を補償する手段がありません。

風邪やインフルエンザなどによる、数日の休業であれば良いのですが、病気入院などにより2週間や3週間といった期間の休業を余儀なくされると、休業により収入を得ることができなくなります。そうなると、入院により休業した期間分の収入補償が必要になります。

そういった理由から、自営業者の方々が、「入院1日あたり給付金1万円」の保障を準備することは、適正な範囲と判断できる思います。

もう1つは、会社員(および公務員)の方々です。

会社員の方々は、病気などにより仕事ができない場合でも、有給休暇などにより収入を補償する手段があります。

また、会社から給料が支給されない場合でも、加入している社会保険の制度によって、最長1年6ヵ月は、標準日給の3分の2相当額の「傷病手当金」の給付を受けることができます。

そうなると、病気入院などにより比較的長い期間休業した場合でも、収入を補償するために保険で準備する必要性は高くないと判断できます。

もし、保険で準備するのであれば、「入院1日につき給付金5,000円程度」の保障を準備すれば十分と判断できる思います。

高額な医療費が必要な場合はどうする?!

テレビのCMなどでは、病気になった場合のリスクをアピールしていますが、実際に病気によって手術や入院をした場合に、どの程度の治療費が必要となるかは、殆ど知られていません。

例えば、がんなどの病気により、手術・入院が必要となった場合に、100万円の医療費が掛ったとします。

この場合、医療費の自己負担割合は3割ですので、窓口で支払うのは「30万円(100万円×3割)」となります。

ただし、このような場合には、「高額療養費」という制度によって、ひと月(1日から末日まで)の医療費の自己負担額が一定金額を超えた場合、その超えた部分が「払い戻し」されるというものです。

70歳未満の人の場合、自己負担限度額は、所得区分により下記のように設定されています。

所 得 区 分

自己負担限度額(月額)

標準報酬月額

83万円以上

252,600円+( 医療費-842,000円 )×1%

標準報酬月額

53万~79万円

167,400円+( 医療費-558,000円 )×1%

標準報酬月額

28万~50万円

 80,100円+( 医療費-267,000円 )×1%

標準報酬月額

26万円以下

 57,600円

低所得者

 35,400円

(協会けんぽHPよりhttps://www.kyoukaikenpo.or.jp/home/g3/cat310/sb3030

一般的には、「所得区分③」に該当する方が多いと思われますので、前述のように100万円の医療費が掛った場合の自己負担限度額は、下記の通りとなります。

自己負担限度額:80,100円+( 医療費100万円-267,000円 )×1%=87,430円

よって、窓口で30万円を支払っても「215,570円(30万円-87,430円)」が後日払い戻しされることになります。

また、近年のがん治療は、「短期入院・長期通院」が主流といえます。がんの進行状況が重篤な状況でなければ、一般的にがん治療の場合の入院期間は20日程度となります。その後は通院で治療を継続することになります。

退院後の治療方法により、負担する医療費の金額は異なります。

放射線治療であれば患部によって異なりますが、通常は週1回、25回程度の通院が一般的といわれています。1回あたりの自己負担額が5,000円程度ですので、約半年間の治療費は「125,000円(5,000円×25回)」となります。

よって、入院月および半年間の通院で必要となる治療費は、「212,430円(87,430円+125,000円)」となります。

その後は、薬用を用いた治療を行いますが、健康保険が適用されない薬もありますので、一概には言えませんが、概ね30万円程度が必要になるといわれています。そうなると、トータルでの治療費合計は「512,430円(212,430円+30万円)」となります。

また、ある保険会社が実施したアンケートでは、がんに罹患した人の約70%の方が「がん治療に必要となった治療費は、100万円以下であった」という結果も公表されています。

そうなると、100万円ほどの貯蓄があれば、医療保険(がん保険を含む)に加入する必要はないと考えることもできます。

貯蓄があれば医療保険(がん保険を含む)は不要?!

基本的に、貯蓄があれば「医療保険(ガン保険を含む)」へ加入する必要はありません。

ただし、ガンの発見が遅れてしまい、健康保険の適用されない先進医療などによる治療が必要となる場合があります。そのような治療が必要となることは、ごく稀といえますがその確率はゼロではありません。

ガン治療の際の代表的な先進医療に「重粒子線治療」がありますが、治療費は約300万円が必要となります。健康保険(自己負担限度額3割)が適用されませんので、全額を負担する必要があります。

そうなってしまうと、貯蓄では賄うことが難しくなる場合がありますので、保険で準備する必要も生じるわけです。

また、繰り返しになりますが、近年のガン治療は「短期入院・長期通院」が主流です。そうなると、入院保障より「入院しない場合の保障(通院保障やがん診断給付金などの使用目的が限定されない一時金)」が重要となります。

よって、医療費への備えを保険で準備する場合には、医療保険にガン特約などを付保して、「入院保障5,000円(自営業者の場合は1万円)、通院保障3,000円、がん診断給付金50万円、先進医療特約150万円~300万円など」の保障内容の保険を準備されることをお勧めします。

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